PROFILE

まつざき さいか Saika Matsuzaki

宮城県仙台市生まれ、幼少期をフランスの田舎で過ごす。
明治学院大学文学部芸術学科卒業後、どんなバイトもうまく続かず、引きこもりたくて半ば開き直り気味でフリーのイラストレーターとして活動を開始。雑誌や広告、絵本制作などに携わる。

コミュニケーションが苦手すぎてイラストレーターになったのに、お客さまのヒアリングをしたり、海外を旅するうちにコミュ力が爆上がり。表現することで自分自身、また他者とコミュニケーションをとれるようになった経緯から、表現アートセラピーを学ぶ。

群馬県妙義町を拠点に、イラストやデザインの制作、また表現アートのーカウンセリング、ワークショップなどを行う。

about

ネガティブなドラマよりも
自分を主人公に生きる方がドラマチックだった

小学生時代をヨーロッパで過ごした私は、日本語もフランス語も話すことができたけれど、
どちらも自分の気持ちや状態を表現するのに、十分には話せなかった。
どこにいても異邦人という感覚があったけれど、何故だかそれは言ってはいけないような気がした。

言葉にできない不足感
汲み取ってもらえない違和感

はっきりとはわからないけれど、思春期になるにつれて、そういうものに私は自意識過剰に飲み込まれていったような気がします。とにかくコミュニケーションが苦手で、まわりに上手く馴染めているかだけが気がかりで、焦ってはいじけて、そんな自分がとても嫌で、いつも上の空だった。
今考えると、一体どうしてそこまでぐるぐると闇の中に閉じこもってしまったのかわからないのだけど、自分でいられる場所がどこにもないように感じていた頃、私を社会につなげてくれたのは、絵を描くということでした。決して上手いくはない絵で仕事をさせてもらえたのはきっと、当時運良く出会えた優しい大人たちのおかげなのですが、どんなバイトも緊張して、空回りして、わからないことさえも質問できなくて、失敗して続けられなかった私にとって、自分の手で描いたものが人に喜んでもらえた(しかも引きこもっていても誰もおかしいなんて思わない!)ことは、この世界で生きていっても良いよ、と許しをもらえたようで、とてもとても嬉しかった。(大袈裟に聞こえるけど、多分そのくらい救われたと思う)

そうして私が外の世界につなげてもらったように、今度は私が、表現を通して自分の内側とつながろうとする人をサポートできることを嬉しく思っています。

きく・はなす・つくる

できるだけ人とかかわらずに、絵の仕事で生きていけたら良いなーとはじめは思っていたのですが、やってみたら、制作の仕事はコミュニケーションそのものでした笑。
ただ、仕事をする中でイメージという言語を使えるようになってからは、自分の考えを伝えること、相手の言いたいことを汲み取ることがとてもスムーズにできるようになりました。

言葉にできない「なんとなく」とつき合い続けているから、お客さんの「上手くまとまらないイメージ」を聞き取ることが楽しいし、その奥にある想いに触れられることが嬉しい。
言葉にできない「しんどい」とつき合い続けているから、自分の悩みと向き合うことへの怖れや否定、それでも誰かに表現したいドキドキやもどかしさを知っています。

制作のヒアリングも、心のカウンセリングも、私のかかわりの根底にあるものは同じようなものなのかもしれません。

自分の表現をたのしむことも

誰かの想いを表現することも

誰かの表現を見届けることも

どれも愛おしいなと思う。
そんな風に、自分とひとと世界とかかわっていたいなと思っています。